プラセンタエキスを配合した化粧品は、数多く販売されているため、どれを選んだらよいのか迷ってしまうものです。中には、プラセンタエキスの「濃度」や「製法」にフォーカスしたものや「原液」といった訴求も見かけます。ここでは、化粧品におけるプラセンタエキスの「原液」について解説していきます。
[目次]
プラセンタ化粧品で表現される「原液」の意味
原液というと、「純粋」や「100%のもの」という印象があり、濃度としてはこれ以上のものはない液体を指します。しかし、化粧品のパッケージに記載されている全成分表示を見ると、プラセンタエキス以外の成分名が記載されていることに気づきます。果たして、これはどういうことなのでしょうか。
化粧品の広告では、何らかの成分を取上げて「原液の化粧水」という言葉が使われますが、化粧品において特定の成分が100%の割合で入っている製品は存在しません。これは、化粧品という製品の特性上、単独の成分のみで作られるものではないからです。そのため、広告上で表現される「原液」とは、一般的にイメージされる100%という意味とは違うものです。
たとえば、「原液」と宣伝しているプラセンタエキスの化粧水(美容液)を購入した際、パッケージに記載されている成分表示を見ると「水」や「BG」など、プラセンタエキス以外の成分名が書かれています。これを見て、次のようなことを考えてしまう方がいるのではないでしょうか。
- 原液なのに「水」が入っているってことは、薄めているのではないか?
- 原液と言うならば、成分表示には「プラセンタエキス」とだけ書かれているはずだ
「原液」という言葉の意味で考えれば、このように考えるのは当然のことです。しかし、化粧品成分の場合では原液の意味が変わること、その理由をみていきましょう。
原液のプラセンタエキスができるまで
プラセンタエキスが原液であるかどうか。それを見極めるために、まずはプラセンタエキスができる過程を見ていく必要があります。
プラセンタの原料は胎盤(固体)
化粧品成分のプラセンタエキスは、動物の胎盤を原料にしています。胎盤は固体なので、化粧品に配合するには液体(エキス)に加工しなくてはいけません。胎盤には血液をはじめ、さまざまな物質が含まれているので、化粧品成分として必要な部分だけを抽出・精製して取り除きます。また、胎盤は固体のため液体(エキス)にするということは、水分に溶け込ませる必要が出てきます。
プラセンタに限らず「エキス」とは、植物などから水やアルコールで抽出した成分を指します。つまり、固体から液体を抽出するという時点で、かならず「水」が加わることになります。
成分を抽出するときに使用する溶剤
プラセンタから必要な成分を抽出する際、溶剤(化学成分)に浸したりして効率よく抽出します。つまり、この抽出するための溶剤もエキスの中に含まれます。どの溶剤を使用するのかは成分を製造するメーカーによって変わります。
プラセンタエキスを抽出・精製する方法には、いくつかの種類があります。その際に使用される薬品や溶剤などの成分もエキスには含まれてきます。
プラセンタエキスの原液とは
ここまで見てきたように、固体の原料であるプラセンタをエキスに加工するには、さまざまな加工が施されます。製造過程で含まれる水や溶剤などは、無くてはならないものなので、エキス(液状)になった状態では、水や溶剤を含んでいますが、プラセンタエキスの「原液(混合原料)」であるともいえるのです。
- メーカーによって濃度も変わる
- 水や溶剤などが加わっていることを前提としても、どれくらいの濃度でプラセンタエキスが含まれているかは、メーカーや製造方法によって異なるものです。プラセンタエキスという成分には、決められた濃度などの明確な基準はないのです。
プラセンタエキス原液に含まれる成分とは
プラセンタには、以下のように豊富な成分が含まれています。
- アミノ酸
- ビタミン
- ミネラル
- 酵素
- 核酸 など
この豊富な成分は、肌にさまざまな美容効果を発揮すると期待されています。
プラセンタエキス原液(美容液)に期待される効果
プラセンタエキスは、プラセンタの原液や美容液は、保湿や美白、エイジングケアなどの有効成分がぎゅっと凝縮されているため、1本でさまざまな効果が期待できます。
NMFの産生を促し保湿力を高める
肌のうるおいを保つ角質細胞内のNMF(天然保湿因子)の主成分はアミノ酸です。プラセンタにはアミノ酸が豊富に含まれているため、NMFのサポートに働くことで保湿効果が期待できます。
肌のターンオーバーを促進
プラセンタにはEGF(上皮細胞増殖因子)などの成長因子が含まれています。化粧品の成分として、確実に効果があるものとは明言できませんが、ターンオーバー(肌の新陳代謝)の活性化につながるのではないかと考えられます。
メラニン色素の産生を抑える美白効果
プラセンタエキスには、チロシナーゼという酵素を非活性化させてメラニン色素の産生を抑える作用が期待できます。しかし、一般の化粧品においては美白有効成分としての効果は認められてはいません。プラセンタエキスを有効成分とした医薬部外品(薬用化粧品)に限って期待されます。
抗酸化作用によるアンチエイジング効果はある?
プラセンタエキスは、多くの成分が含まれているため、若々しい肌をサポートするケアに効果があるような訴求が見られます。実際には、美容液など一般化粧品において、肌トラブルに対して直接的な効果を発揮するかという明確な根拠はありません。
しかし、普段のスキンケアに取り入れることが間違っているというわけではありません。肌の老化症状やアンチエイジングとは、スキンケアだけでカバーできるものではなりません。つまり、プラセンタエキスに対して過剰に期待するのではなく、そういった化粧品を取り入れながら、正しいケア、健やかな生活習慣など、トータル的に実践していくことが重要なのです。
プラセンタエキス原液の使い方
プラセンタの原液は、洗顔後の素肌にそのまま塗布することを推奨しているメーカーが多いようです。これは、その豊富な美容成分を素肌にしっかりと吸収させる目的があるためです。ただし、メーカーによって使用法が異なるため、商品の説明書をよく読んでから使うことをおすすめします。
基本のつけ方
肌につけるときは、手のひらに乗せて温めてから顔全体にやさしくなじませ、両手で押さえるように浸透アップをはかりましょう。年齢の出やすい目元や口元、首すじやデコルテなども忘れずにつけてあげてください。
気になる小じわやシミへ多彩に使用
小ジワやシミなどが気になる場所には重ねづけしたり、コットンやポイントマスクに染み込ませてピンポイントでアプローチするのもおすすめです。他にも、手持ちの化粧水や乳液に混ぜたり、自分でシートマスク(プラセンタパック)をつくったり、ビタミンC誘導体と一緒にイオン導入するなど、アレンジして使うこともできます。ただし、衛生上の懸念があるため、他の化粧品と混ぜたものを作り置きしておくことはやめましょう。
プラセンタエキス原液の副作用について
プラセンタエキスに「副作用」があるのでは?といった意見や疑問が、プラセンタエキスに配合された美容液においても疑問視されることがあるようです。しかし、プラセンタエキスを配合した化粧品を使用することで、何らかの副作用が起こることは考えられません。その理由は、化粧品によって期待できる効果というのは緩やかなものだからです。
なぜ副作用の話が出てくるのかというと、プラセンタは医療でも活用されることに関係していると考えられます。医療で扱われるプラセンタエキスは、化粧品に配合されるものとは違った医薬品成分です。医薬品成分は、作用や効果が強いため、副作用のリスクが必ずあります。
しかし、一般化粧品に配合されるプラセンタエキスは医薬品成分ではありません。そのため、一般化粧品におけるプラセンタエキスに対し、副作用を危惧する必要はありません。ただし、肌と成分の相性があったり、人によってはアレルギー反応を起こす可能性があるので、使用する際は肌に異常がないか観察しましょう。
まとめ
化粧品におけるプラセンタ原液の意味や製造過程、期待できる効果や副作用などを紹介しました。一般化粧品に使われるプラセンタエキスへのイメージを大きく考えすぎている部分がありますが、美容のために行なうスキンケアで、とり入れみることは悪いことではありません。メーカーによって品質が異なることは事実ですが、一般化粧品で期待できる美容効果は、決して大きなものではありません。また、日本国内の化粧品の品質はとても高い基準があるため、品質の良し悪しについて比較するよりは、ご自分の肌に使って、肌の調子の良し悪しを見極めて選んでいくことがポイントです。
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