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統合失調症(精神分裂病)の特徴・症状と治療方法

更新日:2017/09/06 公開日:2014/10/01

発達障害・子供の精神障害

統合失調症は約120人に1人の割合で青年期に発症する頻度の高い精神疾患です。かつては「精神分裂病」と呼ばれ、不治の病のように思われていましたが、今では約半数は回復する病気になっています。統合失調症の正しい知識を医師監修のもと解説します。

統合失調症・精神分裂病の特徴・症状と治療方法

ここでは、代表的な精神疾患のひとつである統合失調症の症状や治療法などについて紹介します。

統合失調症と精神分裂病の違いって?

統合失調症はかつて「精神分裂病」と呼ばれていました。しかし、この名称は「不治の病」「話が通じなくなる病」「人格が荒廃する病」というような誤解を生んでしまっていたため、2002年に「統合失調症」という病名に変更されました。

実際には、統合失調症の患者のうち約半数が寛解(症状が落ち着いて安定した状態)に至るか、軽度の症状を残す程度まで回復することができます。現在では病状に応じて工夫しながら、仕事についたり、結婚したり、子育てしたり、普通の人々とほとんど変わらない日常生活を送ることができるようになってきています。

このような治療の成果を得るためには、統合失調症の早期発見・早期治療が重要です。発症から治療までの期間「精神病未治療期間(DUP; Duration of Untreated Psychosis)」は短いほど予後(見通し)が良いことが実証されています。調査研究によると日本のDUPは中央値4~5か月、平均値18~20か月であり、医療先進国でありながら、この期間は他の疾患に比較すると著しく長いと考えられています[1]。DUPが短いほど予後は良く、明らかな発症までの期間が1か月以上に及ぶ場合(潜行性発症群)は1か月未満の場合(急性発症群)に比べDUPが長く、認知機能、社会機能、QOL(生活の質)の低下につながることもわかっています。

統合失調症はどんな病気?

統合失調症は人口の約0.8%で生じる、約120人に1人の割合で生じる精神疾患です。世界に約2400万人、日本に約70万人いると推定されています。青年期に発症することが多く、15~35歳が大半を占めます。男性は若いうちの発症が多いですが、女性は更年期に入ってから発症することが多く、最終的な男女差はほとんどないと考えられています。

統合失調症の症状は多彩です。以下、主な症状について解説します。

幻覚・妄想

幻覚の中でもっとも多いのは幻聴で、「お前はバカだ」などと批判される声や、「出て行け」などと命令・脅迫される声、また本人を監視しているかのような声が聞こえることが多いといわれています。また、妄想とは、明らかに間違ったことを信じ込んでしまうことで、「人に嫌がらせされている」「食べ物に毒が入れられている」などの「被害妄想」が代表的です。反対に「自分は天才だ、神様だ」といった「誇大妄想」が出ることもあります。

これらは、他人にとっては理解が難しい「了解不能」な症状なのですが、本人にとっては至って真実であり、不安や恐怖、苦しみを伴います。周りの人が「それは本当の声ではない」などと説明しても「訂正不能」な症状なのです。

これら幻覚・妄想や精神運動興奮などの症状を「陽性症状」と呼びます。

社会機能障害

「日常生活や社会生活の中で適切な会話や行動などをすることが難しい」という「社会機能障害」もあります。具体的には、仕事や学業に消極的になったり、朝起きられなくなったり、身の回りのことに無頓着になったりします。会話や行動のまとまりがなくなり、話が通じにくくなり、作業のミスが多くなります。また、気分が塞いで抑うつ状態になり、喜怒哀楽の感情に乏しくなることもあります。

これらは、これまでに「陰性症状」と呼ばれていた無為(何もしない)、自閉(閉じこもり)、感情鈍麻(感情がにぶくなる)、意欲減退(やる気がなくなる)のような症状がもたらす障害です。

認知機能障害

最近、特に社会機能障害の背景には「認知機能障害」が認められるようになりました。CTやMRIといった画像検査により、脳の隙間(側脳室や第3脳室)が増えたり、記憶や学習を司る部分(海馬)が小さくなったりしていることが明らかになりました。また、脳の神経細胞体が集まっている灰白質のかさが4%ほど少なくなり、特に感情・注意・思考・随意運動を司る前頭葉や、言語・記憶・聴覚にかかわる側頭葉で減っていることがわかりました[2]。

具体的な症状としては、注意、言語性記憶(言葉で覚える記憶)、流暢性(情報を素早く適切に処理する能力)、実行機能(複雑な課題に対して臨機応変に対応する能力)などの低下が顕著であり、これらは発症前から認められ、予後にも関わることが示唆されています。従って、「認知機能リハビリテーション」を早期から行うことで社会復帰が速やかに行われると考えられています。

症状に対する本人の理解

これらの症状は他人から理解されにくく、本人自身も、自分が病気であることを認識していないことが多いため、誤解を受けてしまうことも少なくないようです。自分が病気であり、幻覚や妄想が病気により起きている症状なのだと気づくことを「病識」といいます。治療が進み、病状が改善すると「病識」が増すものです。そして「現実検討識」と言われる、日常生活や社会生活における判断能力も向上します。

統合失調症の治療はどういうもの?

統合失調症の治療は、患者が生活の質を向上しながら、普通の社会生活を営めるようにすること(ノーマライゼーション)を目標にして行われます。近年では「リカバリー」という状態を目指すことが一般的になってきました。「リカバリー」とは、患者自身が求める生き方を患者自身で追求できるようになることです。薬物療法と心理社会的療法の組み合わせで、これらの実現を目指します。

薬物療法

統合失調症には「抗精神病薬」と呼ばれる薬が処方されます。抗精神病薬により幻覚・妄想などの陽性症状が数日から数週間ほどで消えていきます。症状が落ち着いた後も継続服用することで再発予防につながります。最近では陽性症状に効果的で副作用も少なく、さらに陰性症状にも効果的といわれる非定型抗精神病薬が主流です。リスペリドンやアリピプラゾールなど何種類もあります。服薬の継続には、家族など周囲の人々の理解や協力も重要です。

心理社会的療法

心理社会的療法は、精神療法、心理教育、SST(Social Skills Training; 社会生活技能訓練)、認知行動療法など、さまざまな種類があります。これらを組み合わせて、医療スタッフと患者・家族を信頼関係で結び、統合失調症についての理解を深め、困難に立ち向かう力を高めることができるよう支援していきます。

精神療法:支持的精神療法(幻覚・妄想についても患者がそのように体験していることを尊重し、否定や安易な肯定は避け、中立的な態度をとる)が基本。

心理教育:患者や家族へ疾患についての知識を分かりやすく伝え、理解を深めることにより、困難に対する対処能力を高めようとすること。

SST:患者にとって困難となっている対人行動などの社会的な生活技能の再学習を行う。

認知行動療法:ある程度、症状が落ち着いた患者に対し、幻覚・妄想および不眠・不安・抑うつなどの症状に対するとらえ方(認知)や対応の仕方(行動)を変えることにより症状の軽減を図る。

そして、これらの治療法の有効性を最大限に高め、長期的な病気の見通しをよくするためには、早期発見・早期治療が重要です。発症から治療までの期間「精神病未治療期間(DUP)」が短いほど予後が良いことが実証されています。しかし、幻覚・妄想などの陽性症状が著しい時は、患者は自分が病気であると気づくことが難しいものです。改めて家族や周囲の人々の理解や協力、さらに学校での教育など地域や社会における啓発活動が必要です。

参考文献

  1. 1. 片桐直之ほか.精神病未治療期間(DUP),日本医事新報 2016; 4820: 50
  2. 2. Nakamura M, et al. Neocortical Gray Matter Volume in First-Episode Schizophrenia and First-Episode Affective Psychosis: A Cross-Sectional and Longitudinal MRI Study, Biol Psychiatry 2007; 62(7): 773–783