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疲労を素早く回復するには?どんな食事がいいの?

更新日:2018/08/23 公開日:2015/07/31

疲労回復の方法

疲労を効率よく回復するには、失われた栄養を補給し、ストレッチや入浴などで体内の循環を良くし、十分な睡眠で身体を休めて翌日の活動に備えることが必要です。ここでは、疲労が起こる原因についての知識と、疲労回復に良い食事(栄養素)と簡単にできるストレッチについて、ドクター監修のもと解説します。

女性

疲労の原因は「乳酸」ではない

疲労の原因と聞いて、多くの人がイメージするのは「乳酸」ではないでしょうか。運動によって筋肉に乳酸が増えるので、乳酸が疲労を引き起こしている原因だという説が広まった時期がありましたが、これは現在の医学・生理学では否定されています。乳酸は運動時のエネルギー源として使われたり、筋肉の活動を高めたりする働きがあることがわかってきています[1]。

そもそも、疲労は運動(筋肉の活動)だけで起こるものではありません。精神的なストレスや、睡眠不足、感染症などの病気、そして紫外線などの環境中にあるストレスなど、実にさまざまな要因が複合して起こるものです。このことは日常の経験から感覚的に納得できるのではないでしょうか。

疲労の真犯人は「活性酸素」

では、疲労の真の原因は何かというと、現在では「活性酸素」が原因ではないかという説が有力です。大阪市立大学健康科学イノベーションセンターの渡辺恭良氏は、さまざまな実験・研究によって、疲労により生じた活性酸素により体内がさびつくことが疲労の原因になっていることが分かってきたといいます[2]。

ごく簡単に説明すると、下記のような流れで過労になってしまうそうです。

  1. 細胞がオーバーワークになると活性酸素が出る
  2. 休まないと、活性酸素を処理しきれない
  3. 活性酸素が重要なタンパク質を酸化し(いわゆる「さびつき」)、細胞が傷つく
  4. 休まないと、細胞が傷ついたまま残って、疲れが続く(→過労へ)

このように酸化したタンパク質や傷ついた細胞を直すには、それに必要な材料となる栄養素や、直す時間を確保するための睡眠が必要になります。

疲労回復のための食べ物

疲労の原因は活性酸素だということであれば、それを消去する抗酸化作用のある食品を食べるのが良さそうです。また、活性酸素で傷ついた細胞を直すための栄養素の補給も必要ですし、その栄養素を使って細胞が元気を取り戻すためには代謝がうまく回ることも重要です。以下で具体的な栄養素や成分を紹介します。

活性酸素を消去する「抗酸化物質」

抗酸化作用がある栄養素としてよく知られているのが、ビタミンA(βカロテン)、ビタミンC、ビタミンEです。また、コエンザイムQ10やポリフェノールにも抗酸化作用があります。これらを多く含む代表的な食材を紹介します。

ビタミンA(βカロテン)
にんじん、パセリ、ほうれん草、あん肝、鰻など
ビタミンC
アセロラ、ピーマン、柿、キウイフルーツ、サツマイモなどの野菜・果物
ビタミンE
ナッツ類、すじこ、かぼちゃ、玄米、マグロなど
コエンザイムQ10
いわし、サバ、牛肉、豚肉など
ポリフェノール
リコピン(トマト)、アントシアニン(黒豆、ベリー類)など

傷ついた細胞を直すための「栄養素」

抗酸化物質とともに摂りたいのが、傷ついた細胞を直すための材料となる栄養素です。ご存知の通り、栄養素はそれ単体で働くのではなく、複数の種類の栄養素が互いに補い合いながら働いています。エネルギーのもととなる糖質や脂質、ビタミンやミネラルを含んだバランスのよい食事を心がけることが重要です。特に、肉や魚に多く含まれるタンパク質は身体づくりの基礎となるので、意識して摂るようにしたいものです。

代謝を回して疲労回復を促す「抗疲労成分」

活性酸素で傷ついた細胞は、栄養素を使って修復していきます。そのために必要な活動が「代謝」です。代謝は化学反応が連続して起こる複雑なシステムですが、これがうまく回らないと修復はできません。逆に、代謝を促せば疲労を素早く回復することが期待できます。

代謝を回して疲労回復を促す成分とそれを含む食材は下記の通りです[3]。

  • イミダゾールジペプチド(鶏胸肉、かつお、まぐろ、豚ロース肉、クジラ赤身肉など)
  • ビタミンB1(豚ヒレ肉、生ハム、たらこ、鰻など)
  • α-リポ酸(レバー、ほうれん草、ブロッコリー、トマト、ニンジンなど)
  • コエンザイムQ10(いわし、サバ、牛肉、豚肉など)
  • クエン酸(レモン、みかん、グレープフルーツ、いちご、キウイ、梅干し、酢など)
  • パントテン酸(レバー、ニジマス、納豆、牛乳、ししゃも、アボカドなど)
  • L-カルニチン(ラム肉、牛肉、豚肉、かつおなど)
  • ビタミンC(アセロラ、ピーマンなどの野菜・果物)

疲労回復を目指した食事には、これまでに紹介した抗酸化物質、栄養素、抗疲労成分をうまく組み合わせることが求められます。レシピの一例が下記のページで紹介されているので、参考にしてみてください。

※抗疲労食クッキングレシピ(大阪市立大学健康科学イノベーションセンター)

筋肉疲労を回復! お手軽ストレッチ

ここまでは疲労回復のための食事について紹介してきました。食事で摂った栄養素が体中に運ばれていくためには、体内の循環を良くしておくことも重要です。軽いストレッチや入浴などで循環を促すことができます。最後にストレッチの一例として、デスクワークで肩、背中、腰などに負担がかかったときのほぐし方をご紹介します。

  1. 椅子に座った状態で手と手を合わせて指を組む
  2. そのまま腕を前に出して軽く前屈する
  3. 深呼吸しながら、意識的に背面を伸ばす
  4. 十分に伸びたら姿勢を戻し、何度か繰り返す

なお、疲労回復に効く入浴方法については『上手に疲労を回復させる方法』を、睡眠については『疲労を早く回復させる睡眠方法』をご覧ください。

参考文献

  1. [1]渡辺恭良. 疲労の分子神経メカニズムと疲労克服. 日薬理誌 2007; 129: 94~98
  2. https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/129/2/129_2_94/_pdf(参照2018-08-23)
  3. [2]渡辺恭良. 疲労の科学・脳科学と抗疲労製品の開発. Japanese Journal of Biological Psychiatry 2013; 24(4):200-210
  4. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsbpjjpp/24/4/24_200/_pdf(参照2018-08-23)
  5. [3]大阪市立大学健康科学イノベーションセンター. “食事で疲れをとる” 日本食によるストレス・脳機能改善効果の解明.
  6. http://www.chsi.osaka-cu.ac.jp/project/tire/meal.html(参照2018-08-23)