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腰痛の種類(6)骨粗しょう症

更新日:2017/04/21 公開日:2015/08/27

腰痛の種類

「骨粗しょう症」も、腰痛を引き起こす原因のひとつです。骨粗しょう症とはどのような病気で、原因はなんでしょうか?また、腰痛との関係とは?予防と改善方法、また診断や治療もあわせて、ドクター監修のもと詳しく解説します。

50歳以上の女性に多いといわれる骨粗しょう症も、腰痛を引き起こす原因のひとつです。骨粗しょう症とはどのような病気で、なぜ腰痛を引き起こすのか詳しく解説します。

骨粗しょう症とは

骨密度(骨を構成する組織の密度)が低下することで、骨の中が鬆(す)の入ったダイコンのようにスカスカになり、ちょっとしたことでも骨折してしまうほどもろくなってしまう病気を骨粗しょう症といいます。

骨粗しょう症は、男性よりも女性(特に中年以降)に多く見られます。これは、女性の骨がもともと男性に比べて細く量が少ないことに加え、カルシウムの吸収を助けて骨を強くする女性ホルモンの分泌が閉経によって減少するためと考えられています。現在、日本における骨粗しょう症の患者数は、約1100万人(総人口のおよそ10%)といわれ、いずれ症状がでてくるであろう予備軍も含めると、2000万人にも達するとされています。

腰痛と骨粗しょう症の関係

骨密度が低下する骨粗しょう症では、骨折する患者が後を絶ちません。中でも、椎体骨折はもっとも頻度が高いといわれています。日本においては、全骨粗しょう症患者のうち、70歳代前半の25%、80歳代の43%に椎体骨折が見られると報告されているほどです。

椎体を骨折すると、それ自体が痛みをもたらすのは言うまでもありませんが、治癒後も痛みを訴えることが多いのが特徴です。椎体骨折では、治癒した後も変形が残るケースが多くあり、変形が強くなると、姿勢を維持するために筋肉が緊張した状態が続くためです。

どのような場合に骨粗しょう症が疑われる?

洗濯物を高いところに干すことができないなど、高いところに手が届きにくいと感じた場合は注意が必要です。具体的には、25歳時の身長から4cm以上の身長低下が見られる場合、骨粗しょう症による椎体骨折をすでに患っていることを疑います。

また、母親が骨粗しょう症骨折歴がある娘において、遺伝による関連性が示唆されています。そのため、家族の既往歴は問診時確認されることが多いです。その他、運動習慣や生活習慣病の罹患歴などを確認したうえで、総合的に骨粗しょう症の診断を行います。

骨粗しょう症の原因

日本に2000万人もの患者数(予備軍含む)を出している骨粗しょう症は、どのような原因で起こるのでしょうか。主な3つの原因について詳しく見ていきましょう。

(1)加齢

骨の量(骨密度)は、生まれてから18歳頃をピークにどんどん増えていき、それを過ぎると徐々に減っていきます。これは、加齢とともに骨の新陳代謝が鈍るためです。骨は、古いものは壊れて吸収され、また新しい骨が作られるというように、絶えず新陳代謝をくりかえしています。新しい骨を作るのに欠かせないのが、カルシウムです。しかし、加齢にともない腸からのカルシウム吸収量は減少するため、骨を作る原料が不足し、新しい骨が作られにくくなってしまうのです。

(2)女性ホルモンの低下

女性が閉経を迎えると、女性ホルモンの一種であるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が一気に減少します。エストロゲンは、カルシウムの吸収を助けて骨形成を促すとともに、骨の中に貯蔵されているカルシウムが血液中に溶け出す(※1)のを防ぐ役割も担っています。そのため、エストロゲンが減少すると、骨密度も低下しやすくなるのです。

※1:カルシウムは、主に骨と歯に貯蔵されていますが、生命維持に支障をきたさないよう、血中にもある程度の量が備わっています。しかし、食事で摂取するカルシウム量が不足して血中カルシウム量が少なくなると、その分を骨に貯蔵されたカルシウムが溶け出すことで補います。この状態が長く続くと、骨のカルシウム量が不足することから、骨粗しょう症が引き起こされやすくなるのです。

(3)ダイエット・偏った食事

無理なダイエットはカルシウム不足を招くため、骨粗しょう症を招きやすいです。現に、近年ダイエットによる若い女性の骨粗しょう症が増加傾向にあります。逆に、塩分の取り過ぎや加工食品ばかりの偏った食事も、骨粗しょう症のリスクを高めます。これは、塩分はカルシウムを排出しやすくし、また、清涼飲料水やインスタント食品などに多く含まれるリンは、骨からカルシウムを溶け出しやすくするためです。このような食事を続けていると、若いころは大丈夫でも、年をとると骨粗しょう症になりやすいです。

※骨粗しょう症と食事の関係について、詳しくは『腰痛は食事で改善できる?腰痛によい食べ物』をご覧ください。

(4)その他の要因

その他、遺伝や体質的な要因(近親者に骨粗しょう症患者がいる、小柄で華奢な体型など)や、生活習慣(運動不足、喫煙、過度の飲酒、不規則な生活、昼夜逆転の生活など)も、骨密度を低下させる要因になるとされます。このような要因により起こるものを、原発性骨粗しょう症と呼びます。若いうちから骨粗しょう症予備軍になってしまうことも多いため、生活習慣など意識して変えられるものは見直すことをおすすめします。

また、薬の投与(関節リウマチなどの膠原病や気管支ぜんそくなどで長期間ステロイド薬を服用している場合)の影響で、二次的に起こるものもあります。これを、続発性骨粗しょう症と呼びます。

骨粗しょう症の主な症状

骨がもろくなるため、軽くしりもちをついたり、重いものを持ち上げたりする程度で骨折します。まれに、なにもしていなくても骨折することがあります。骨粗しょう症は自覚症状が現れにくいため、骨折して初めて骨粗しょう症がわかったというケースも少なくありません。

椎体圧迫骨折

体の重みによって背骨が潰れてしまう椎体圧迫骨折は、骨粗しょう症の代表的な症状のひとつです。以下に、具体的な症状をまとめました。

  • 急性期

思い当たるきっかけがないのに、突然、背中の痛みや腰痛が起こります。動いたり、前かがみになったりすると痛みが増し、寝返りをうつことができない、仰向けに寝られないといった症状も見られます。これが2~3か月続きます。

  • 慢性期

潰れた骨が固まってくると痛みは徐々に落ち着きますが、骨が潰れることで背が低くなったり、背中が後方に湾曲して丸くなったりすることがあります。また、骨がうまく固まらないと慢性の腰痛や背部痛が残ったり、潰れた骨が変形して脊髄や馬尾神経を圧迫し、下肢のしびれや知覚障害、麻痺などを起こしたりすることもあります。

椎体圧迫骨折は、骨が少しずつ潰れていくため激痛をともなわず、鈍痛や重苦しいといった症状で済んでしまうこともあります。そのため、骨折に気付かず、知らないうちに慢性期に移行することも少なくありません。年とともに徐々に背が低くなったり、腰が曲がったりすることが多いですが、これは「年をとったせい」ではなく、実は椎体圧迫骨折が原因である可能性も高いのです。

QOLの低下

QOLとはQuality Of Lifeの略で、生活の質のことです。骨粗しょう症による骨折は、寝たきりや施設入所、介護サービス需給との関連が大きく、QOLを低下させる要因になることが明らかになっています。特に、大腿骨近位部骨折を患った場合、日常生活動作に大きな影響を及ぼすとの報告があります。また、長期的には骨折の有無にかかわらず死亡リスクを高める要因になるともいわれています。

骨粗しょう症の診断方法

骨粗しょう症は、以下のような検査を行ったうえで診断に至ります。

  • 医療面接(病歴、使用薬物、生活習慣、家族歴、女性の場合は閉経などについての聴取)
  • 身体診察(BMIの算出、脊柱変形の有無、腰痛や背痛の有無など)
  • 画像診断
  • 血液・尿検査(骨代謝マーカーの測定含む)
  • 骨評価(骨密度測定および脊椎エックス線撮影)
  • 鑑別診断(他の類似した症状をきたす疾患と比較すること)

日常生活での対処法や治療法

骨粗しょう症予防を心がけよう

何よりも、骨粗しょう症にならないよう普段から予防を心がけましょう。加齢とともに骨密度が低下しやすくなるのは自然なことなので、できるだけ促進させないよう食事や運動療法で防ぐことが肝心です。

※骨粗しょう症を予防する運動療法については、『腰痛対策にはどんな運動をすべき?』下記をご覧ください。

骨粗しょう症になってしまったら

骨粗しょう症と診断された場合は、骨折の予防を行うことが非常に重要です。特に、QOLを悪化させる大腿骨や椎体の骨折には気をつける必要があります。転倒による骨折などを防ぐよう、物を乱雑に置かない、階段や風呂場には手すりやすべり止めを付けるなど、骨粗しょう症患者に限らず高齢者の方は生活空間を工夫するようにしましょう。

骨粗しょう症に対しては、骨折の予防に加え、薬物による治療を行うのが一般的です。近年はその研究の進歩により、骨折リスクを低下させる骨吸収抑制薬が使用されるようになりました。しかしながら、骨強度の低下が進行する骨粗しょう症において、使用期間にも制限のある薬物では大きな効果を得られていないのが現状です。そのため、骨強度を維持・増大させるような生活習慣を確立することも大切です。医師の指示に従い、生活習慣の改善を行いましょう。

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