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牽引治療は腰痛に効果がないって本当?

更新日:2016/12/09 公開日:2015/08/27

腰痛の治療

脊椎を引っ張ることで圧迫やゆがみによる腰痛の改善を目指す牽引治療。整形外科や接骨院でよく行われる治療方法ですが、効果がないというウワサも耳にすることがあります。その真偽について、ドクター監修のもとお伝えします。

脊椎の牽引治療は腰痛をさらに悪化させる、効き目はない、などの声を耳にすることもありますが、そのような声があがる理由はなんでしょうか?脊椎牽引療法のメカニズムから、そのようにいわれる理由と、その真偽についてお伝えします。

脊椎牽引療法とは

牽引療法は、古代ギリシャの医者であるヒポクラテスが骨折や脱臼の整復に用いたという歴史ある治療法です。1950~1960年代に椎間板ヘルニアの治療として流行しましたが、一部に筋肉を損傷する危険があるという指摘もありました。以来、さまざまな改良が加えられ、現在は筋肉に負担をかけることなく、リラックスした状態で寝たまま効果的に牽引ができる装置も開発されているそうです。

最新の機器では、一定時間・一定の力で秒単位の牽引と休止を交互に行う「間歇牽引」が採用されています。方法としては、まず牽引器に腰掛け、ワキと骨盤部を固定してヒザを曲げた状態のままリクライニングします。10~15分ほど脚の方へ断続的に自動で牽引を行います。牽引する力は体重の3分の1を目安にし、痛みが出ないように調整しています。

なお、牽引療法は急性時には行わず、炎症や痛みがある程度落ち着いてから行うようにします。その他、以下のような場合にも、牽引療法は禁止されています。

・全身の衰弱が著しいとき

・脊椎分離症状、すべり症、骨折があるとき

・脊椎カリエス、リウマチなど、炎症性脊椎疾患

・牽引を行なうことで症状悪化の懸念があるもの

・坐骨神経痛や腰痛が著しいとき

・腫瘍の骨転移(癌由来の腰痛症など)

脊椎牽引療法の効果

牽引療法を行うと、腰部の筋肉や靭帯への微細な伸展収縮によるマッサージや刺激効果がもたらされるとされています。それにより筋肉の緊張をやわらげ、局所の血行を促進させると考えられます。椎間板ヘルニアでは牽引することによってヘルニアが引っ込むといわれることもありますが、実際はそこまで大きな変化が認められることはありません。

牽引療法は効果がない?

では、牽引療法はなぜ効果がないとウワサされるのでしょうか。

それは見通しが立たないからです。牽引は、何回くらいやったらよくなる、何日続けて牽引すればよくなってくるという目安がまったくないものです。2年でも3年続けてもよくならない、また忙しくなってなんとなく行かなくなってしまうので牽引の効果が感じられない、1~2回でよくなったものの牽引の効果なのかわからない、牽引のおかげでというよりは自然とよくなった印象の方が強い、といったようなパターンが多いのが事実です。

また、論文などでも牽引が単独で腰痛に効果があるという報告は残念ながらありません。しかし、坐骨神経痛を有する腰痛に限れば有効であるという報告は存在します。

日本整形外科学会の『腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン』では、「牽引療法がヘルニアによる腰痛、下肢痛の改善に有効であるかは明らかではなく、保存療法の一貫として牽引療法選択の是非を検討する必要がある」と記されています。要するに、牽引療法の効果については、まだはっきりとした根拠がないというわけです。

しかし、牽引療法によって腰痛の症状がよくなったという人もいます。効果があるかどうかは試してみなければわからないので、行うかどうかは医師とよく相談することをおすすめします。やってみて効果が感じられるようであれば続け、逆に効果がない、または痛みが増すようなときにはすぐに伝え、中止をするという対応をとるしかないのが現状と言えます。

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