糖質制限の食事を続けていると、口臭や体臭がきつくなったかなと思うことがあり、家族などに指摘されて初めて気づく人もいるようです。なぜそのようなことが起こるのか、仕組みと対策を紹介します。
糖質制限における体臭の原因「ケトン体」
エネルギー源としての血中のブドウ糖を使い切ってしまうと、蓄えられている体脂肪が分解されて、新たなエネルギー源となります。この時に肝臓で産生され、血液中に放出される物質をケトン体と言います。
血液脳関門をすり抜けられる栄養素はブドウ糖だけです。つまり、ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源。しかし、空腹や飢餓の状態においてケトン体は、ブドウ糖の代替として脳のエネルギー源になることができるのです。血中のケトン体濃度が標準値を超えた状態を「ケトーシス」と言います。
ケトン体を構成する物質は、アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸です。このなかのアセトンが体臭や口臭に影響するとされ、「ケトン臭」「アセトン臭」と呼ばれています。甘ずっぱいツーンとしたにおいが特徴です。揮発性があるため、体臭として排出され、呼気に混じると口臭になります。特に運動不足の際にアセトン臭が生じます。
糖質制限中のケトン臭を防ぐには
ウォーキングなどの有酸素運動や、基礎代謝を高める筋力トレーニングなどをダイエットにとり入れることが、ケトン臭の発生を抑えることにつながるという意見もあります。これは、筋肉でケトン体を燃焼できるためとされています。
一方で、ケトン体は酸性の物質です。そのため、アルカリ性食品を食べることにより、体を弱アルカリ性に傾けると体臭が改善する可能性が示唆されています。アルカリ性食品としては、野菜、バナナなどの果物、ワカメなどの海藻類、大豆製品などがあげられます。
クエン酸も、体臭の対策としてしばしば取り上げられます。クエン酸を含むのは、レモンやグレープフルーツなどのシトラス系の果物や、酢や梅干しからも摂ることが可能です。生姜なども汗腺機能を高め、血行をよくするため、効果が期待できます。
せっかく素敵な体を手に入れようとしてダイエットしても、体臭がただようようでは魅力半減です。しっかりと予防・改善の対策を実践しましょう。
糖質制限による健康影響についての注意事項
参考文献
- [1]Gary D. Foster, et al. A Randomized Trial of a Low-Carbohydrate Diet for Obesity, N Engl J Med 2003; 348: 2082-2090
- [2]日本糖尿病学会. "日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言" 日本糖尿病学会. http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=40(参照2017-06-29)
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