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成分輸血や自己血輸血って?現代の輸血の方法

更新日:2016/12/09 公開日:2015/12/25

輸血の基礎知識

採血した血液をどんな状態で輸血するのか、また輸血に患者自身の血液を使うか、他人の血液を使うのかなど、輸血にはいくつか方法があり患者の状態に合わせて選択されます。ドクター監修のもと、現代の輸血の方法について解説します。

輸血の方法である「成分輸血」「全血輸血」と、「自己血輸血」「同種血輸血」。聞き慣れない言葉ですが、輸血が必要なとき、血液をどのような状態で輸血するのか、また、誰の血液を輸血するのかを示す方法です。それぞれの特徴などについて解説します。

成分輸血・全血輸血とは?

輸血の方法には、採血した血液をそのまま輸血する「全血輸血」と、「赤血球製剤」、「血漿製剤」、「血小板製剤」など、各成分に分けて輸血する「成分輸血」があります。

成分輸血は、患者が必要とする血液成分だけを輸血できるため、患者の体にかかる負担が少なくてすむというメリットがあり、現代では成分輸血が一般的に行われています。

大きなけがをしたり、手術中に大量に出血した場合でも、全血輸血が必須ではなく、成分輸血によって患者の体に必要な血液成分を補うことで、生命に危険がないということが報告されています。

自己血輸血・同種血輸血とは?

輸血する血液には、患者自身の血液を輸血する「自己血輸血」と、献血された他人の血液を輸血する「同種血輸血」があります。

自己血輸血は、患者自身の血液を使用するため、ウイルス感染や免疫反応の心配がなく、同種血輸血よりも安全です。自己血輸血の実施管理体制が整っている病院であれば、もっとも安全性が高いため、多くの出血量が予測され、輸血が必要と考えられる人工関節等の整形外科手術や心臓手術等の外科手術を予定しているケースでの導入が推奨されています。

自己血輸血には、手術日の数日前から2~3回、患者の血液を採血して貯蔵しておく「術前貯血式自己輸血法」や、手術室で手術が始まってから患者の血液を採血し、採血した量に見合った量の輸液を行うことで、体内の血液を薄める「血液希釈法」、さらに、手術中や手術後に出血した血液をポンプで回収して、患者の体内に戻す「回収法」があります。

3つの自己血輸血方法には、それぞれ長所と短所があります。主治医の説明をよく聞き、納得した上で選択しましょう。

術前貯血式自己輸血法

長所:全血を冷凍保存する場合、特別な器具や装置は必要ないため、どの病院でも実施できる。

短所:手術前に数回、採血を行うため、貧血が見られる場合には必要な血液量を確保できないこともある。また、緊急手術の場合は行えない。

血液希釈法

長所:採血した血液が新鮮。また、手術前に採血する必要がないため、患者の負担もない。採血した血液を希釈して一定の輸血量とするため同量の全血採取に比べて採取血液量が少なくて済み、結果として手術中の出血量も少なくなる。

短所:採血は1回しか行わないため、採血できる量には限りがある。また、麻酔をかけた後に採血を行うため、手術開始までに時間がかかる。

回収法

長所:大量に出血する手術や、手術中は出血がなくても手術後に出血する手術に向く。

短所:回収した血液に細菌が混入する危険がある。がんを患っている場合は、輸血によってがん細胞が全身に広がる危険性があるため、行うことができない。

同種血輸血は、献血した他人の血液から作られた血液製剤を使用する方法です。近年、安全性が高まってはいますが、ウイルス感染など副作用のリスクがあります。そのため、使用する際には、特に注意が必要です。

輸血のための採血時の注意点

輸血の中でも、「術前貯血式自己輸血法」は、患者の協力が必要になります。採血時の注意点を紹介します。

採血前日の注意点

(1)十分に睡眠をとる

(2)食事をきちんととる

(3)心臓、血圧、糖尿病の薬を使用している場合は、普段通り服用する

採血時・採血後の注意点

採血中、気分が悪くなったり、吐き気や冷や汗がでることがあります。ほとんどの場合、安静にすることで回復しますが、まれに薬剤の投与が必要になったり、心停止を起こすこともあるため、小児や低体重の人は特に注意しましょう。

また、貧血改善のための内服薬によって、吐き気などの副作用が起こることがあります。頭を低くして、安静にしましょう。激しい運動や飲酒は避けます。

現代では、十分な管理の下で患者自身の血液を採取し、成分献血を行うことが最も安全な輸血方法といえるでしょう。

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