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手術後の褥瘡(床ずれ)予防は?褥瘡の手術ってどんなもの?

更新日:2018/04/03 公開日:2016/04/06

床ずれ(褥瘡:じょくそう)の治療法

褥瘡(床ずれ)は手術後や寝たきりの人などに起こりやすい皮膚の病気です。褥瘡を起こさないためには、手術後にどのような対策をすればいいでしょうか? また、ここでは褥瘡の手術(外科的治療)についてもドクター監修のもと解説します。

褥瘡(じょくそう)は、長時間の手術や寝たきりの高齢者、脳や脊髄の病気などにより自分で寝返りが打てない人などに多く起こる皮膚の病気です(俗に「床ずれ」とも呼びます)。ずっと同じ体勢で寝ていると、同じ場所に体重がかかり続けます。そうすると、特に骨の出っ張った部分(例えば仰向けに寝ていた場合はおしりやかかと、後頭部など)に褥瘡ができてしまいます。褥瘡になると、皮膚が赤くなったり、むくんだり、潰瘍ができてただれ、体液(滲出液)が大量に染み出します。また、厚くなった角質や、死んで固く黒くなった皮膚や皮下組織がくっついたりします。

このようにならないためには、手術後にどのような対策をすればいいのでしょうか? ドクター監修のもと解説します。また、ここでは褥瘡の治療としての手術(外科的治療)についても触れます。

手術後などに褥瘡になるのを防ぐには

長時間の手術などでしばらく同じ体勢で寝続けるような場合に、褥瘡を予防するために大事なのは「皮膚に不要な圧迫や外力を加えないこと」と「健康な皮膚を維持するための十分な栄養」です。

皮膚に不要な圧迫や外力を加えない

褥瘡は自分で寝返りが打てないことが原因ですから、体圧を分散するようなマットレスを使って皮膚への負担を減らし、定期的に寝返りを打たせてあげる(体位変換)よう介助することが対策になります。

体位変換は状況が許せば2時間以内ごとにするのが望ましいですが、現実にはなかなか難しいかもしれません。体圧分散マットレスを使用している場合は4時間以内の間隔でいいという意見もあります[1]。自動的に体位を変換してくれる特殊なベッドもありますので、医療機関と相談してできる範囲で対策しましょう。

あらかじめ骨が出っ張っている部分が圧迫されるのが予想されているのなら、その部分にポリウレタン製のフィルムなどを貼っておくことも褥瘡予防になります。また、クッションなどを使って、皮膚に不要な外力がかからないようなポジションを取らせることもいい方法です。

肌そのものを保護することも予防になります。スキンケアとして、保湿クリーム(スクワレン含有のクリームなど)や白色ワセリンなどの油性の軟膏を塗ることがすすめられています[2]。

健康な皮膚を維持するための十分な栄養

圧迫を受けて傷ついた皮膚は、再生して元通りになろうとします。それがうまく働けば、ある程度の圧力がかかっていたとしても褥瘡にならずにすむ、もしくは軽くてすみます。そのためには十分な栄養が欠かせません。

とくにエネルギー源として必要なカロリーをしっかり摂ること、皮膚の材料となるタンパク質を意識して摂ることがすすめられます。ビタミンやミネラルを含めバランスの良い献立になるよう心がけましょう。なかでもビタミンC、亜鉛、アルギニンは皮膚の回復によいとされていますので、不足のないように配慮するといいでしょう[2]。食事から十分な栄養が摂れない場合は、サプリメントや栄養補助食品を使うのも良い方法です。

褥瘡はどうやって治療するの?

では、褥瘡がもし出来てしまったら、どのような治療を行うのでしょうか。

治療法は褥瘡の深さや状態によって変わってきますが、大まかにいえば、褥瘡が深い場合は皮膚の回復を促進するために、褥瘡のある部分の環境を整える(例:死んだ組織を除去する、乾燥防止、滲出液の制御など)ことを目的として治療を行います。

褥瘡が治ってきた場合や褥瘡がまだ浅い場合は、その部分をうるおい(湿潤)を保った環境にして、新たな皮膚を作り出すための細胞や物質が活発に働けるようにして、自己治癒を促します。これらを実現するために、軟膏やフィルム状の貼り薬(ドレッシング剤)、スプレータイプの薬などを駆使して治療を行っていきます。

褥瘡の手術(外科的治療)とは?

近年、褥瘡の外用薬を用いた治療が進歩しており、褥瘡のために大掛かりな手術を行うことはあまりありません。しかし、外用薬を使った治療に、外科的な方法での治療を加えることで褥瘡の治癒を促せることもあります。以下、褥瘡の外科的治療を2つ紹介します。

外科的デブリードマン

外科的デブリードマンとは、外用薬を用いた治療のみでは改善が期待されない場合に行われる処置です。死んでしまって黒く固くなった組織(壊死組織)をメスで取り除く手術を指します。壊死組織は傷にしっかりとくっついており、この壊死組織が回復を邪魔しているため、メスで切り取らなければなりません。

壊死組織は細菌増殖の場となってしまうため、これを取り除き、皮膚の再生を促すことが目標となります。切ると聞いて、痛みを想像されるかと思いますが、壊死組織は痛みを感じないので、基本的には麻酔なしで行うことができます。

また、褥瘡周囲の皮膚にポケットのような穴が空いている場合も、外科的に入り口の一部分を切開するケースがあります。

外科的再建術

褥瘡における再建術とは、自分の皮膚などを用いて、褥瘡の傷口を塞いでしまう手術を指します。自分の皮膚の一部をどこからか取ってくる必要があるため、麻酔をかけて行います。

麻酔は体に大きな負担をかけてしまいますので、事前の計画がとても大切です。基本的には患者のライフスタイルを十分考慮したうえで、次の点などを検討して手術を行うか否かを決定します。

  • 外用薬などによる治療を行っても治りそうにない、あるいはかなりの期間が必要か?
  • 褥瘡が骨まで達しているか、その骨の状態はどうか?
  • 麻酔に耐えられるかどうか?

これらの外科的治療を行っても、体圧分散や栄養補給をしっかり行わないと、治らなかったり再発したりします。褥瘡予防の項目で解説したような対策を常に心がけることが必要です。

とはいえ、褥瘡は看護や介護する人に大きな負担がかかりやすい病気です。近年では褥瘡対策を専門にしている看護師(皮膚・排泄ケア認定看護師)が全国で活躍しています。一人で悩んだり無理をしすぎたりする前に、医療機関にぜひご相談ください。

参考文献

  1. [1]日本褥瘡学会教育委員会ガイドライン改訂委員会. 褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版), 褥瘡会誌 2015; 17(4): 487-557
  2. [2]立花隆夫ほか. 創傷・熱傷ガイドライン委員会報告―2:褥瘡診療ガイドライン, 日皮会誌 2011; 121(9): 1791-1839