スキンケア大学 ヘルスケア大学 メンズスキンケア大学

タバコが薬の効果に与える影響と禁煙治療

更新日:2017/03/22 公開日:2016/04/20

人によって異なる薬との付き合い方

タバコが体にさまざまな悪影響をきたすことは周知の事実。タバコを吸うことで、服用している薬の効果を下げてしまうこともあります。ここでは、タバコが薬の効果に与える影響と禁煙治療について、ドクター監修のもと詳しく解説します。

タバコが薬にどのような影響をきたすのか、詳しく解説します。

タバコが薬の効果に影響?

喫煙と言えば、まず思い浮かべるのは「ニコチン」ですが、タバコの煙の中にはニコチン以外にも4,000種類以上の化学物質が含まれ、喫煙者の体に悪影響を与えています。その中には多環式芳香族炭化水素(PAHs)と呼ばれる100種類以上の化学物質も含まれています。このPAHsが肝臓に影響し、服用した薬との相互作用を起こすことが分かっています。

タバコで薬の効果が弱まるメカニズム

薬は体に入ると、体を循環して、目的の部位で薬理作用を示します。その後、薬の肝臓で少しずつ分解され、最終的には体外へ排出されます。薬を分解する肝臓では、シトクロムやグルクロン酸転移酵素などの代謝酵素が働いています。

喫煙によって体内に入り込んだPAHsは、この代謝酵素の働きを活発にする作用があり、薬によっては分解・排泄される速度が速まってしまうことがわかっています。つまり、喫煙者と非喫煙者が同じ量の薬を服用しても、喫煙者の場合、体内に入った薬が次々と分解・排泄してしまうので薬の効果が弱まってしまうわけです。

タバコの影響を受ける薬

上記のようなメカニズムによって効果が弱まる可能性がある薬には、以下のようなものがあります。

・インスリン製剤

・テオフィリン(ぜんそく治療薬)

・プロプラノロール(高血圧治療薬)

・アセトアミノフェン(消炎鎮痛薬)

・オランザピン(精神病薬)など

いずれも、喫煙者では薬の血中濃度が低くなり、効果も弱まってしまいます。

特に、糖尿病治療で用いられるインスリン製剤は喫煙によって吸収が低下するため、喫煙者が血糖を正常にコントロールするには通常量よりも多いインスリンが必要となります。ヘビースモーカーの1型糖尿病患者では15~30%のインスリンを追加投与しないと通常量にならないといわれています。

タバコで副作用が助長されることも

タバコは、薬の効果を弱めてしまうだけでなく、副作用を助長してしまうこともあります。

例えば、経口避妊薬(ピル)を服用している女性では、心筋梗塞や狭心症を起こすリスクが高まります。ピルの副作用には血管が詰まってしまう血栓症があり、喫煙が心血管へ負担をかけることにより心筋梗塞などが出やすくなってしまうのです。ピルの添付文書(医療用医薬品の注意書き)には、喫煙は「原則、禁忌」と書かれています。

急な禁煙にも注意

薬をきちんと作用させるためには、やはり禁煙するのが理想的ですが、実は急な禁煙も注意が必要です。ヘビースモーカーが急にタバコを止めると、PAHsが減少することで薬を分解する働きが低下し、逆に薬が効き過ぎて副作用が起きてしまうことがあります。そうならないために、「禁煙の志」を医師に伝え、適切な薬の調整をしてもらうことが大切です。