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食物繊維が食欲を抑える理由

更新日:2016/12/09 公開日:2016/03/30

ダイエットの気になる疑問

食物繊維をたくさん食べると、食欲が抑えられるといわれていますが、そのしくみはよく分かっていませんでした。ここでは、ドクター監修のもと、食物繊維が食欲を抑えるメカニズムにせまった、イギリスの研究を紹介します。

食物繊維は、野菜や豆類、玄米などの精製されていない穀物に多く含まれています。食物繊維を豊富に含む食事をとると、食べ過ぎの防止や食欲抑制に効果的であるといわれていますが、そのメカニズムはこれまでよく分かっていませんでした。ここでは、食物繊維がなぜ食欲を抑えるのかという謎にせまった、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンで行われた研究を紹介します。

食物繊維が分解されてできる短鎖脂肪酸

食物繊維は、人の消化酵素では消化できない食物成分です。そのため、口から入った食物繊維は、胃や小腸では消化されず、そのまま大腸にやってきます。大腸に入った食物繊維は、腸内に住み着く腸内細菌によって発酵・分解を受けます。この発酵によって、メタンガスなどのガスとともに、「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」という物質が作り出されます。短鎖脂肪酸には、酢酸、プロピオン酸、酪酸などがあります。

生成された短鎖脂肪酸は、大腸で吸収されてエネルギー源として使われたり、腸内を弱酸性の環境にすることで悪玉菌の増殖を抑制し、腸内環境を良好な状態に保ったりする作用があります。

酢酸が食欲の抑制に重要な役割を果たす

インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、腸内で作り出される短鎖脂肪酸のうち、酢酸に注目し、酢酸が大腸で吸収されてから体のどこを巡るのかを追跡する研究を行いました。

彼らはまず、チコリーや甜菜(てんさい)という野菜由来の食物繊維をシリアルバーに添加して、高脂肪食と一緒に食べさせたマウスと、高脂肪食のみを食べさせたマウスを使い、体重減少や酢酸の生成量などを比較しました。その結果、高脂肪食と一緒に食物繊維を食べたマウスでは、高脂肪食だけを食べたマウスより体重が増えにくく、腸内の酢酸の量が多いということがわかりました。

次に、PETスキャン(ペットスキャン;放射性物質を利用して目印を付けた物質が、体内のどこに取り込まれるのかを特殊なカメラでとらえ、画像化する方法)を使い、腸内で生成された酢酸を追跡したところ、酢酸は肝臓や心臓を経由し、最終的に、脳の視床下部の食欲をコントロールする領域に到達することが明らかになりました。

さらに、酢酸を直接マウスの血管に注入し、大腸や脳に行き渡らせたところ、食欲が抑制されるという結果が得られました。食物繊維が食欲を抑えるメカニズムのカギは、酢酸だったのです。

食欲抑制の新しい手段が生まれる可能性も

今回の研究は、マウスを使った研究ですが、人間でも多量の酢酸を脳に運ぶことのできる安全な方法が確立すれば、食欲を抑制する新しい方法になるかもしれません。

研究結果が人に応用されるにはまだ時間がかかりそうですから、それまでは、食欲を抑えたいなら食物繊維をたくさん摂るようにするのがよいと言えそうです。

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