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ADHDの学校でのケア

更新日:2018/06/11 公開日:2016/05/20

ADHDの子供へのケア

ADHDの子供は集団生活に上手く馴染めないことが多く、勉強も遅れがちになります。学校ではADHDの子供にどのような配慮や対応が望まれるのでしょうか。教員としてのケアや現状について、ドクター監修のもとお伝えします。

ADHDの子供に対する学校で望まれるケアについて、以下で解説します。

ADHDとは

ADHDとは、集中力がない状態である「不注意」、本人の落ち着きがない「多動性」、考えるよりも先に行動する「衝動性」の3つの症状を主とする発達障害のひとつを言います。小・中学生の子供の3~7%(30人中1~2人)に見られると考えられています。女子よりも男子の方が3~5倍は患者の数が多いとされています。また、病気が見つかる年齢も男子のほうが早い傾向があり、男子は8歳以前、女子が12歳ごろといわれています。

学校で起こりうる問題とは

ADHDの子供は学校生活において、以下のような問題を起こしやすいといわれています。

  • 多動性の症状から、授業中に歩き回ってほかの子の邪魔をする、大きな声で一方的にしゃべり、話しだしたら止まらないなどの行動がある
  • 不注意の症状から、集中力がなく勉強が遅れがち、宿題を忘れる、課題や余暇活動を最後までやり遂げられない、持ち物を忘れたりなくしたりする
  • 衝動性の症状から、順番を待てずに列に割って入ったり、悪気はなく叩いてしまったりして友達とトラブルになることがある

これらのことから、周囲に何度も注意されることになってしまいがちです。そのため、注意されるとかんしゃくを起こしたり、からかいやいじめの対象になったり、集団から孤立してしまうこともあります。

ADHDの子供に配慮した環境と指導を

子供の主治医や親がいくら頑張っても、学校の協力なしには治療効果は上がりません。それどころか、親と学校の先生の対応が違うと子供は混乱し、どうしていいかわからなくなってしまいます。学校と家庭、医療機関のそれぞれが連携することで、一貫した指導を行うことが大切です。

集中できる環境づくり

ADHDの子供は気が散りやすい傾向があります。席は廊下側や窓側は避け、真ん中の列で、先生の目が届きやすい一番前の席がよいでしょう。前方の席にすると、教師が目の前にいることで子供の注意がそれにくくなります。また、教師も子供が何かを達成したり成功したりしたときに、すぐにほめられるなどの声かけもしやすくなります。よい行動をしたときには笑顔で大きな声で褒めたり、抱きしめるようにしたりするなど、その場ですぐにほめることを心がけましょう。そうすることで、「こうすればほめてもらえるんだ」と、子供によい行いを強化させる効果が期待できます。

さらに、教室の壁に絵など生徒の作品を貼ることも、ADHDの子供にとっては黒板から目が逸れる要因になります。そのため、注意が逸れることが多い場合は壁に作品などを貼らないことも検討してみましょう。

逆に、黒板の横には時間割表を貼り、こまめに見るように促すとよいでしょう。なぜならば、ADHDの子供は順序立てて物事を考えることがむずかしく、次の授業がなにかといったことに気が回らないからです。

それでも、集中力は長く続かないため、15分以内の間隔で気分転換ができるような授業の進め方などを工夫するとよいでしょう。

学習指導を工夫する

ADHDの症状のひとつに、ひとつのことに集中できない「不注意」があります。そのため、勉強に集中できずに学習スピードや理解に遅れが生じるケースがあります。ADHDの子供への対応としては、子供の気が散らないように物理的な環境を整えることが大切です。

授業では、カードや道具、ビデオやパソコンなど、視覚や聴覚を刺激して子供の関心を惹きつける教材を多用すると集中しやすくなります。また、小さなステップに分けて理解しているかを確認しながら進める、黒板の文字を書き写すための時間を十分にとるなどの配慮が必要になります。

ADHDの子供は、集中力が必要な宿題も苦手です。本人がやりきれる内容と量を吟味し、飽きがこないように違う形式の課題を組み合わせるとよいでしょう。

学校全体で障害を理解

ADHDの症状にもよりますが、担任としてADHDの子供を指導するのは負担が大きいこともあります。また、ADHDの生徒がクラスに1人とは限りません。生徒一人ひとりにしっかりと指導しようと思えばなおのこと、担任の先生がひとりで対応するのは限界を感じることもあるのではないでしょうか。

2007年から始まった教育支援制度では、知能には問題がなくても学習に遅れをきたすことがあるADHD、自閉症スペクトラム障害、学習障害の子供も、特別指導の対象になっています。これを受けて、通常教室では担任のほかに支援補助教師をつけ、さらに週1~2回の通級学級(学習の遅れに応じ個別指導が受けられるクラス)で特別指導をするという体制を整えている学校もあります。

通級学級の設置が困難な場合は、複数の教師がその子供の指導に当たるチーム・ティーチングのスタイルも効果があるといわれていますので、検討するとよいでしょう。

学校関係者は、まずADHDのことをよく理解し、関係者の間で対応についてよく話し合い、ADHDの子供一人ひとりの異なる特性に合わせてきめ細やかな指導をしていくことが望まれます。