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新生児黄疸が重症化することで起こる核黄疸とは

更新日:2017/01/31 公開日:2017/01/31

核黄疸の基礎知識

新生児黄疸の原因となるビリルビンという物質が脳にまわることで起こる核黄疸。ここでは、ドクター監修のもと、核黄疸の原因や症状・後遺症、検査、予防のための治療法など、核黄疸についてわかりやすく解説します。

日本人は黄疸になりやすいことが知られており、ほとんどの赤ちゃんに見られます。新生児黄疸で問題になるのは、黄疸が重症化した場合に起こる核黄疸です。ここでは、核黄疸の原因や症状・後遺症、検査、予防のための治療法などについて、詳しく解説します。

核黄疸とは

血液中に増加したビリルビンによって皮膚や白目が黄色くなる症状を、黄疸といいます。ビリルビンは、古くなった赤血球が壊されるときに出てくるヘモグロビンから産生される物質です。新生児の場合、成人と比べて赤血球が多く、赤血球の寿命が短いうえ、ビリルビンの処理能力が未熟なため、黄疸を起こしやすい状態にあります。

黄疸は多くの赤ちゃんに見られる症状ですが、血液中のビリルビン濃度が正常の範囲を超えて高くなる高ビリルビン血症を起こすと、核黄疸になってしまうリスクが高まります。核黄疸とは、血液脳関門(血液中の物質を簡単に脳に侵入させないようにするバリア機構)を通過したビリルビンが、脳細胞に障害を起こす病気です。ビリルビン脳症とも呼ばれます。新生児の黄疸が重症化した場合は、原因がなんであれ、ただちに治療を行い核黄疸を防ぐことが重要になります。

核黄疸の原因とは

核黄疸を引き起こす高ビリルビン血症の原因には、次のようなものがあります。

生理的な黄疸の増強

病気が原因ではない生理的な黄疸が増強した場合、ビリルビン濃度の上昇が正常範囲を超え、高ビリルビン血症を起こすことがあります。日本人は黄疸が増強することが多く、基準値を超えた場合は治療が必要になります。

溶血症・多血症

溶血(赤血球が壊れること)は、高ビリルビン血症を起こす主な要因の1つです。母体と胎児の血液型不適合や生まれつきの赤血球の異常などによって生じ、貧血をともないます。また、赤血球が多くなる多血症も壊れる赤血球が増えるため、高ビリルビン血症の原因になります。

肝機能の異常

肝臓の炎症(新生児肝炎など)や先天性の代謝異常(ガラクトース血症など)による肝機能障害は、ビリルビン代謝機能を低下させ、高ビリルビン血症を引き起こします。

胆道系の異常

先天性胆道閉鎖など、なんらかの要因によって胆汁の排泄が障害されると、ビリルビンが体外に排泄されにくくなり、高ビリルビン血症の原因になります。

核黄疸の症状とは

核黄疸の症状は段階的に変化していくことが知られており、1期から4期の4段階に分けられています。1期の症状は核黄疸だけに見られる症状ではありませんが、この時期に適切な治療を行わなければ後遺症が残ることがあります。

1期(発病2~3日)の症状

筋緊張低下、嗜眠傾向(放っておくと眠ってしまう状態)、吸啜反射(口に触れたものを吸う反応)の減弱、モロー反射の減弱などがみられます。全体的にぐったりと元気がなくなった状態です。

2期(発病3日~1週間)の症状

発熱、かん高い泣き声、落陽現象(赤ちゃんの黒目が、太陽が沈むように下まぶたに隠れること)、筋緊張亢進(こうしん)、後弓反張(筋肉のけいれんによって体が反り返ること)、けいれんなどがみられます。

3期(発病1~2週以降)の症状

2期にみられるような手足の硬直や筋肉のけいれんが、減弱または消失します。一見よくなったように見えるため、診断を誤りやすく、要注意です。

4期(発病1年以降)の症状

アテトーゼ(自分の意思と無関係に現れる体の動き)や難聴、上方凝視麻痺、知的障害などの脳障害による症状が現れるようになります。

後遺症は残る?

核黄疸が重症化してしまった場合、アテトーゼをともなう脳性小児麻痺や聴覚障害(高音域が聞こえづらくなる難聴)、知的障害などの後遺症が残るリスクが高いといわれています。後遺症を残さないためにも、高ビリルビン血症がみられた場合は、すみやかに治療することが大切です。

病的黄疸が疑われ精査が必要なケース

1)生後24時間以内に目で見て明らかにわかる黄疸(早発黄疸)がある。

2)血清総ビリルビン濃度(TSB)の上昇速度が0.2mg/dL/時以上または5mg/dL/日以上。

3)TSBが正期産児で15mg/dL、低出生体重児で12mg/dL以上(重症黄疸)、ただし日本人の正期産児では17mg/dLくらいまでを許容する考えもあります。

4)生後2週間以上にわたり持続する黄疸(遷延性黄疸)がある。

5)直接ビリルビン濃度が2mg/dL以上もしくはTSBの10%以上。

核黄疸の検査・診断

核黄疸の予防・早期発見のためには、血液中のビリルビン濃度をモニタリングすることが大切です。黄疸が見られる場合は、皮膚の色を確認するとともに、皮膚の上からビリルビン値を測定できる経皮的ビリルビン測定計を使い、経過を観察します。経皮的ビリルビン測定計が規定値を超えた場合や、黄疸症状が急速に進行した場合は、採血をして血清ビリルビン濃度を測定します。

高ビリルビン血症が認められる場合、肝炎や胆道閉鎖などの病気がないか調べる検査も行います。生後24時間以内に黄疸が認められ、母体と胎児の血液型の不適合がある場合は、血液型不適合性溶血性黄疸が疑われるため、血液型検査に加え、クームス試験(赤血球に付着している血液型抗体を調べる検査)を行います。

核黄疸を防ぐための治療

生理的な黄疸の場合は、特に治療をしなくても2周間程度で消失します。しかし、血液中のビリルビン濃度が正常な範囲を超えた場合は、核黄疸を予防するため、血液中のビリルビン濃度を下げる治療を行う必要があります。高ビリルビン血症がなんらかの病気によって起こっている場合は、原因となっている病気の治療も行います。高ビリルビン血症に対する治療法には、以下のようなものがあります。

光線療法

体に青色の光をあててビリルビンの構造を変化させ、ビリルビンを水に溶けやすい性質に変えることで、胆汁中への排泄量を増やす治療法です。胆汁の排泄障害がある場合には行なえません。

交換輸血

重篤な高ビリルビン血症や血液型不適合性溶血性黄疸、光線療法が無効な場合など、核黄疸のリスクが高い場合は、交換輸血が必要です。体重1kgあたり約160mLの血液を使い、2時間かけて行います。これによって約85%の血液が新しい血液に置き換わり、ビリルビン値が低下します。