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大量の出血がひき起こす出血性ショックとは

更新日:2017/04/13 公開日:2017/04/13

出血性ショックの基礎知識

出血により体内の血液が減少することが原因で血液循環に異常をきたし、体にさまざまなショック症状が現れます。それが「出血性ショック」です。出血性ショックの主な症状や原因、対処法についてドクター監修の記事でお届けします。

「出血性ショック」とは出血が原因で起こる体のさまざまな異常やショック症状のことです。主な症状や原因、対処法について見てみましょう。

出血性ショックとは

ケガによる出血や、消化器官など体内で起こった出血により大量の血液が失われた時に起こるショック症状のことです。私たちの体の中には、体重の約8%に当たる量の血液が絶えず循環しています。たとえば体重60キロの人で、約5リットルもの血液が体に存在していることになります。しかし、その血液のうちの20%以上が失われると、その循環が正常に機能しなくなり、体の中の組織や臓器に十分な血液が運ばれなくなってしまいます。血液が十分に運ばれないことにより、組織や臓器に酸素や栄養が十分に行き渡らなくなり、それが原因となってさまざまな障害が起こり、ショック症状となって現れます。

出血性ショックの症状

出血性ショックの症状は進行するにつれ変化していきます。初期の症状と、進行した症状とを比べていきましょう。

初期の症状

血液が失われた場合、少なくなった血液は体の中でもっとも重要な器官である脳や心臓に優先的に運ばれます。その他の器官に運ばれる血液は必然的に少なくなるため、皮膚が青白くなります。少なくなった血液をできるだけ循環させようと脈は速くなりますが、一度の鼓動で心臓から送り出される血液の量は少なくなり血圧は低下していきます。ただし、血圧に関しては低下していない場合でも出血性ショックを起こしている可能性があるため注意が必要です。

また、末梢血管(まっしょうけっかん)が収縮し、手足の先をはじめ体全体に冷えを感じます。これらの症状は、血液全体の15~30%が失われた頃から始まり、これらの症状に進行が見られる場合は出血にともなうショックが悪化していることを示します。そのため、出血をともなう症例において皮膚が青白く変化したり、脈が弱く速くなったり、血圧が低くなったりした場合には早めの対応が必要です。

進行した症状

出血が進み、さらに多くの血液が失われると、それまで優先的に運び込まれていた脳への血液の量も減少します。そのため、脳に十分な血液が行き渡らず、意識が朦朧とし始めます。

徐々に意識だけでなく体のコントロールも利かなくなり、自力で動くことが難しくなったり、意識がコントロールできない不安から、朦朧としながらも攻撃的な態度になることがあります。症状が悪化すると、朦朧としていた意識はさらに遠のき昏睡状態へと陥ります。この時のサインとして、生あくびが見られることがありますので注意して観察しましょう。

また、体内の血液が不足することで、うまく血液が行き渡らず血液中の酸素が不足している状態(低酸素血症)になります。すると、酸素が足りないため筋力も低下し、過度に酸素を取り入れようとすることで過呼吸状態に陥ることもあります。

対応が遅れ、出血が続いた場合には十分な血液が運ばれていない臓器が正常に機能しなくなり、多臓器不全に陥ります。最悪の場合、死にいたる非常に危険な状態です。

出血性ショックの原因

出血性ショックの原因になるケガや病気を外出血、内出血に分けてご紹介します。

外出血

外出血とは、文字通り血液が体の外に出ており、目で見える出血のことを指します。

ケガなどによる外傷出血をはじめ、鼻血や口の中の出血(口内出血)がわかりやすい例です。その他にも、消化管からの出血も吐血や血便、血尿などとして目に見ることができるため外出血に当たります。

内出血

外出血に対し、血液が目に見えない出血を内出血と呼びます。関節の内側で起こる出血(関節内出血)や筋肉の内側で起こる筋肉内出血をはじめ、皮下出血、脳出血などがこれにあたります。

出血性ショックのチェック項目

出血が見られる症例において、出血性ショックを起こしているかどうかのチェック項目をご紹介します。

  • 顔が青白い
  • 唇の色が悪い(青、紫)
  • 体に触れると冷たい(もしくは寒さを訴えている)
  • 脈拍が弱く、速い
  • 呼吸が浅く、速い
  • 意識が朦朧としている
  • 血圧が低い
  • 冷や汗をかいている

以上のような症状が見られる場合、出血性ショックを引き起こしている可能性があります。すみやかに対処する必要がありますので、症状を見逃さないように注意深く観察しましょう。

出血性ショックの対処法

ショック症状自体への対処というより、出血を止めることでショック症状が悪化しないように応急処置をとることが大切です。

出血した際の止血方法をご紹介します。

直接圧迫法

ガーゼやハンカチなど清潔な布を直接傷口に当てて、強く圧迫します。

特に静脈性出血や毛細血管出血の場合には、非常に高い効果が期待でき、もっとも簡単で確実な止血方法です。傷口を押さえる手にビニール手袋やビニール袋をかぶせることで、血液感染の予防もできます。

間接圧迫法

傷口ではなく、傷口より心臓に近い位置を、手や指などで圧迫する方法です。直接圧迫法のためのガーゼやハンカチを用意している間や、さまざまな事情で傷口を直接圧迫できない場合に行います。傷口より心臓に近い位置を圧迫することで、傷口に向かう血液の流れを妨げ出血を抑えます。ただし、止血効果としては直接圧迫法の方が効果的なため、直接圧迫法が行えるようになったら、間接圧迫法の圧迫を緩め、直接圧迫法に切り替えましょう。

緊縛止血法

手足の大出血で直接止血法での止血が難しい場合に、緊縛止血法を行います。

幅3cm以上の紐(止血帯)を用意し、傷口の中心側の動脈を強く縛ります。この方法は、血管や神経を傷つける危険があるため、最終手段の止血法として覚えておきましょう。また、細い紐では圧力が不十分になり、血管や神経を傷つける確率が増しますので、必ず幅の広い紐を使用してください。

1時間以上、強く縛った状態が続くと神経麻痺や細胞の壊死を引き起こします。緊縛止血法の開始時間を明記し、30~60分に1度は紐を緩め、血流を再開させる必要があります。

出血性ショックの症状や原因、対処法についてご紹介しました。出血をともなう症例で出血性ショックの症状が見られた場合には、応急処置で止血を行ったあと、傷口を心臓より高い位置で安定させ、すみやかに医療機関へ向かいましょう。

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