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高齢での妊娠・高齢出産について

更新日:2017/04/13 公開日:2017/04/13

妊娠・出産期の基礎知識

高齢での妊娠や出産が増えているといわれます。35歳を過ぎると、妊娠する率が下がり、また母体や胎児にリスクも高くなるとされます。高齢での妊娠や出産におけるリスクや注意すべきことについて、ドクター監修の記事で解説します。

高齢での妊娠や出産にはどのようなリスクがともなうのか、また、どのようなことに注意すべきか、見ていきましょう。

高齢での妊娠とは

高齢での妊娠、出産が増えてきているといわれています。厚生労働省『平成21年人口動態統計月報年計(概数)の概況』によると、平成21年(2009年)の出生数はおよそ107万人(1,070,025人)で、そのうち母の年齢が35歳以上での出生数はおよそ24万人(240,973人)と報告されています。これをもとに算出すると、全出生数に対する高齢での出産数の割合は、約22.5%になります。今や、日本で誕生する赤ちゃんのおよそ5人に1人強が、お母さんが高齢での妊娠、出産を経て産まれてきた子供、と言えるようです。

高齢出産とは

高齢出産は、日本産婦人科学会では「満35歳を超えての初産婦」と定義されています。一般には、「初産が35歳以上での出産」を高齢出産と称することが多いようです。もともとは、30歳以上での出産が高齢出産とされていました。しかし、2000年以降、30歳以上の初産が増加し割合も増加したこともあり、WHOでの定義や諸外国での定義に足並みを揃える形で、35歳以上を高齢出産として扱うようになりました。

高齢での妊娠とは

今回は高齢での妊娠や出産を取り上げて解説していますが、「高齢での妊娠」も上記にならい「満35歳を超えての初産となる妊娠」として解説していきます。

妊娠しやすさ、妊娠する力のことを「妊孕性(にんようせい)」と言います。この妊孕性について、1989年にオックスフォード大学が行った調査があります。そのなかで、避妊しない女性が妊娠する可能性は、1か月あたりで14〜31%であったと報告されています。この調査では、いわゆる結婚適齢期にある女性が調査対象とされました。一般的には20代から30代前半くらいまでが結婚適齢期とされることが多いため、上記のデータも、20代から30代前半くらいまでの女性の妊孕性を示唆するものと考えられます。

では、30代後半以降の女性では、妊孕性はどのようになるのかと言うと、医学的には30代からは20代に比べて妊娠率は低下し、35歳を超えてからはさらに低下の傾向が著しくなるとされています。この原因のひとつに、卵子の老化があげられています。

女性は卵巣のなかに卵子のもと(原子卵胞)を持って産まれてきます。これらは全身のほかの細胞のように新たに生成されることがなく、胎児のときの700万個をピークに、出生時には200万個、初潮を迎える頃にはおよそ30万個にまで減少していきます。1度の月経でおよそ1000個の原始卵胞が減るといわれ、年齢を重ねるごとにその数はますます少なくなっていきます。

妊娠するためには排卵が起こっていることが必要です。しかしながら、1回の生理周期に排卵される卵子は、そのときもっとも発達し成熟した卵子がひとつだけです。卵子もまた全身の老化と同じように加齢による老化を免れ得ません。精子と出会って受精できたとしても、受精卵が育たなかったり、着床に至らなかったり、着床して妊娠できても流産しやすくなったりしてしまうのです。

30代後半になると妊娠しにくく、また流産などのリスクも高くなりがちだといわれるのは、このような理由によります。したがって、年齢による妊孕性について言うならば、30代に入るころから徐々に妊孕性は低くなっていき、35歳以上、40代にかけて年齢とともに著しく低下していきます。そして、45歳を過ぎたら自然妊娠することは非常に難しいとされています。

高齢出産におけるリスクとは

高齢出産におけるリスクとして、胎児に染色体の異常が生じる危険性が増加することがあげられます。高齢出産では、ダウン症児が出生する率が上がることが知られ、20代の約0.1%に対して40代では約1%にまで率が上がるといわれています。これは、受精卵が細胞分裂をする際に、染色体に異常が起こりやすくなるためと考えられています。

卵子の中には紡錘糸(ぼうすいし)と呼ばれる物質があります。紡錘糸は、受精卵が細胞分裂をしながら成長していく段階で、染色体を分裂するそれぞれの細胞へ分離させる役割を担っています。しかし、加齢により老化した卵子には、この紡錘糸の構造に異常が生じたものがみられることがあります。紡錘糸に異常が生じていると、細胞分裂の際に、2つの細胞へ同数の染色体を分ける働きにエラーが生じ、染色体数に異常を生じさせやすくするとされています。

胎児に生じた染色体の異常によっては、着床や、妊娠後の成育自体が難しくなってきてしまいます。そのような場合には、胎児とならずに流産に至ってしまうこともあるといわれています。高齢での妊娠や出産においては、上記のような異常が生じる確率が高くなるために、妊娠しにくく、また、流産や胎児の異常を生じさせやすくなると考えられています。

さらに、母体にとっても妊娠高血圧症候群などの危険性が高まったり、難産になる確率が高くなったりするなどのリスクが懸念されます。高齢での妊娠や出産には、このように胎児にとっても母体にとっても高いリスクが想定されるため、慎重に妊娠の経過を観察し、状態管理を心がけていくことが重要になります。

高齢での妊娠で注意すべきこと

上記したとおり、35歳以上での妊娠や出産には、さまざまなリスクをともないます。妊娠を希望する場合には、まず妊娠できる身体づくりをすることが大切です。卵子の老化を止めることはできなくとも、老化するスピードを緩和するとともに、より妊娠しやすい状態に身体を整えていくことは可能です。規則正しい生活を送り、食生活のバランスや十分な睡眠を心がけるなど、生活管理をはかりましょう。また、妊娠期間中は胎児の成長にともなって、身体にさまざまな変化が生じます。虫歯や感染症など現在なんらかの疾患がある場合には、その疾患をしっかりと治療しておくことも大切です。

40代未満の女性で、避妊をしなかったにもかかわらず1年間にわたり妊娠に至らなかった場合、人工授精や、高度生殖医療を行なうことを考えることもあるかもしれません。しかし、43歳を超えると、高度生殖医療を行っても妊娠を期待することはかなり厳しいとされています。医療の進歩により高度な生殖医療が可能になったとされますが、それをもってしても妊娠や出産に至ることが難しいケースもあるのが事実とされています。妊娠を強く希望するのであれば、できる限り早いうちに、専門医に相談することが推奨されます。

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