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肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)の原因とは

更新日:2018/05/02 公開日:2016/06/19

肘部管症候群の基礎知識

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)になる大きな原因は、ひじの酷使や加齢などによるひじの変形、さらにはガングリオンなど腫瘤による圧迫の可能性もあります。肘部管症候群の原因について、ドクター監修のもと、詳しく解説します。

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)は、ひじの内側を通る尺骨神経が慢性的に圧迫されたり引っ張られたりすることで起こります。では、なぜ尺骨神経にこのような負担がかかるのでしょうか。ここでは、肘部管症候群の原因について解説していきます。

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)とは

ひじを机の角などにぶつけて、小指がジーンとしびれたことはありませんか? 肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)は、このようなしびれが慢性的に続くことから始まります。

初期症状では薬指の小指側から小指にかけてしびれや痛みを感じるようになり、症状を放置すると麻痺が進んで指に変形が生じ、日常生活にも不便が出る可能性があります。

ひじの内側をトントンと叩くと手の小指側にしびれが走る、ひじをしばらく曲げていると症状が強まる、細かい作業がしづらくなり、指先をうまく合わせられなくなるなどの症状がある人は、肘部管症候群が疑われます。症状は進行するので、早めに整形外科を受診しましょう。

尺骨神経を圧迫する大きな原因「変形性肘関節症(へんけいせいちゅうかんせつしょう)」

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)は、ひじの内側を走る尺骨神経の圧迫や引き延ばしによって起こります。圧迫される原因の多くは「変形性肘関節症」というひじの関節の変形です。変形性肘関節症は、長期間の重労働やスポーツなどでひじをよく使ってきた人に起こりやすく、30歳以上の男性に多く見られます。そのほか、ひじの骨折や脱臼、関節炎などが原因となり、なかには加齢にともなう原因不明のものもあります。

長年の負荷などによりひじの軟骨がすり減ると、関節の周りに「骨棘(こつきょく)」という骨の突起ができ、関節の動きが悪くなって痛みが出るようになります。悪化すると、折れた骨棘の破片が関節の間に引っかかり、関節が動かなくなることもあります。関節が変形して肘部管(ちゅうぶかん)が狭まったり、骨棘に内側から圧迫されたりすることにより、肘部管症候群を発症しやすくなるのです。

ガングリオンなどの腫瘤による圧迫が原因のことも

関節を包む関節包(かんせつほう)や腱を包む腱鞘(けんしょう)の変性によって生じる「ガングリオン」が尺骨神経を圧迫し、肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)を引き起こすこともあります。ガングリオンとは、関節の周辺にできる半球状のしこりで、中には透明なゼリー状の粘液が入っており、硬いものから軟らかいものまで状態はさまざまです。通常痛みを感じることはありませんが、ガングリオンの増大にともない神経が圧迫されるようになると痛みが出てきます。

ガングリオンを放置しても問題ありませんが、しこりが大きくなり痛みが出てくる場合は、粘液を吸引する処置を行います。それでも繰り返し、痛みが強くなる場合は手術で摘出します。

子供のときの骨折による変形が神経を引き延ばされる原因に

子供の頃のケガが原因になり、尺骨神経の麻痺を引き起こすこともあります。小児期にひじを骨折した後、骨が曲がったままくっつくことによって、内反肘(ないはんちゅう:ひじが内側に曲がったもの)や外反肘(がいはんちゅう:ひじが外側に曲がったもの)といった変形が残ることがあります。これらの変形が、尺骨神経を慢性的に引き延ばす原因となり、肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)が起こります。

このようにケガをしてから数年の時を経て尺骨神経の麻痺を生じるものを「遅発性尺骨神経麻痺(ちはつせいしゃっこつしんけいまひ)」と呼ぶことがあります。

頬杖をつくくせやひじを曲げて眠るくせが悪化の原因に

日頃のちょっとしたくせがひじに負担をかける一因となり、肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)に影響を及ぼすことがあります。

たとえば、頬杖をつくくせがある人は知らず知らずのうちに、尺骨神経を引き延ばしたうえに圧迫しています。眠るときに胸の上で腕を組んだり、ひじを曲げて手を頭の下に置いたりするくせがある人も要注意です。

日頃からよくひじを使う人や、かつての骨折でひじに変形が見られる人で小指のしびれが出てきた場合は、肘部管症候群を発症しているかもしれません。症状が現れている方は早めの受診をおすすめします。

症状が長引くようであれば、整形外科を受診しましょう

手のしびれは、肘部管症候群だけでなく、頸椎の間から出る脊髄神経の根元(神経根)の圧迫によるものもあるので、原因を確定することが大切です。整形外科では問診のほか以下のような検査を行い、肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)かどうかを診断します。

ティネル様徴候

ひじの内側を叩いたり圧迫したりして、小指と薬指にしびれが走るかどうかを確認します。

フローマン徴候

両手の親指と人差し指で紙をつまんで引っ張り合ったときに、症状がある方の手の親指の第一関節が曲がれば陽性です。

ひじ屈曲テスト

ひじをしばらく曲げているとしびれが増強するものを陽性とするテストです。

神経伝導速度検査

尺骨神経を皮膚の上から電気で刺激して、その刺激が神経の中をどれくらいの速さで伝わっていくかを調べます。肘部管(ちゅうぶかん)で速度が遅くなれば、そこに障害があるということになり、肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)である可能性が上がります。

そのほか、変形性肘関節症(へんけいせいちゅうかんせつしょう)が疑われる場合はX線検査を、腫瘍やガングリオンの可能性がある場合はエコーやMRIを使用することもあります。

麻痺が進む場合は手術を

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)であった場合、初期のものや原因が明らかなものなど回復の可能性があれば、保存的治療を行います。ひじの安静・固定を行い、鎮痛剤やビタミン剤などを服用します。

症状が改善しない場合や麻痺が進む場合は、早い段階の手術が望まれます。さまざまな手術法がありますが、変形性肘関節症(へんけいせいちゅうかんせつしょう)が原因の場合は、神経を圧迫している靱帯を切離する手術を行います。重症の場合は、肘部管(ちゅうぶかん)を構成する硬い靱帯を切開し、神経を前方の軟らかい組織に移動させる手術が必要です。そのほか、ガングリオンが原因の場合は切除したり、ひじの外反などの変形を手術で治したりすることもあります。

肘部管症候群の場合、重症化してしまうと手術をしても回復に時間がかかるだけでなく、感覚や筋肉が完全には元に戻らない場合があります。つらい状態を我慢せず、整形外科を受診することをおすすめします。

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