鉄分の吸収を妨げてしまう食べ物
この記事の監修者
管理栄養士・料理家磯村優貴恵 先生
若い女性の4人に1人にあると言われている鉄欠乏性貧血。その予防と改善には鉄分を多く含んだ食事を積極的に摂ることが大切です。しかし、食べ物の組み合わせによっては鉄分の吸収が阻害され、せっかく摂った栄養が無駄になってしまう場合もあります。
今回は鉄分の吸収を阻害する食べ物を紹介しますので、効率よく鉄分補給をしたいとお考えの方は是非意識してみましょう。
鉄分の吸収を阻害する成分とそれを含む食べ物
■フィチン酸
フィチン酸は鉄分をはじめ、カルシウムなどのミネラル類と強く結びつき、水に溶けない不溶性の成分へと変化することにより腸からの吸収を妨げる働きがあります。
フィチン酸は、豆腐や米ぬかをはじめ、とくに玄米などの穀類の外皮にも多く含まれているため、健康や美容の維持などを目的に玄米を主食として日ごろから皮ごと食べている方の場合は注意が必要です。
鉄分不足が気になっている方で、主食を玄米としている場合は、分づき米や胚芽米と混ぜて炊く、玄米の浸水を十分にする、食べるときはよく噛んで食べるようにするなど、ちょっとした工夫で、フィチン酸がおよぼす可能性のある悪影響を最小限に抑えることができます。
■シュウ酸
シュウ酸はアクの成分であり、代表的な食べ物にはほうれん草やたけのこなどがあります。また、さつまいもやキャベツなどにも含まれているシュウ酸は鉄やカルシウムの吸収を妨げる働きがあります。
シュウ酸は水溶性であり、茹でたりすることによって70%~80%が水に溶け出すため、ほうれん草やたけのこなどはしっかりとアク抜きをすることが必要です。
■タンニン
コーヒーや紅茶、緑茶、赤ワインなどに含まれている渋みの成分タンニンは、鉄と結合する性質があり、水に溶けにくくなるため、吸収率が下がります。
■食物繊維
しいたけやえのきだけなどのきのこ類や、わかめなどの海藻類、さつまいもやごぼうなどの野菜類などに多く含まれる食物繊維は、デトックス効果が高い栄養素として知られていますが、必要以上に多く摂りすぎると鉄などの必要な栄養素までを排出してしまう可能性があります。
しかし、日本人の食生活では食物繊維が含まれている食べ物をとる習慣があまりなく、厚生労働省が推奨する目標摂取量には到達していない方が多いので、サプリメントなどから大量に摂取する方以外は、それほど気にする必要はないといえるでしょう。
栄養バランスを大切に
今回紹介した栄養素は、一般的に鉄の吸収を悪くすると言われていますが、大切なのはこれらの栄養素を極端に減らすのではなく、食べ合わせを意識することや食べ物をバランスよく食べることです。鉄分を多く含む食品を意識してとりながら、栄養バランスのよい食生活を楽しみましょう。